いも類の「正しい保存方法」：発芽、カビ、劣化を防ぐ 3 つの鉄則
いも類は、私たちの食卓に欠かせない栄養豊富な食材です。しかし、保存方法を間違えると、すぐに発芽してしまったり、カビが生えたり、風味が落ちてしまったりと、残念な結果を招くことも少なくありません。ここでは、いも類を美味しく長持ちさせるための、発芽、カビ、劣化を防ぐための3つの鉄則と、それぞれの具体的な方法について詳しく解説します。
鉄則1：適切な温度と湿度を保つ
いも類は、温度や湿度に非常に敏感な食材です。それぞれのいも類によって最適な保存環境は異なりますが、共通して言えるのは、高温多湿を避けることです。
じゃがいもの場合
じゃがいもは、低温・低湿度を好みます。理想的な保存温度は5℃～10℃程度です。冷蔵庫の野菜室は、一般的に温度が低すぎるため、じゃがいもを保存するには不向きな場合があります。冷蔵庫に入れると、でんぷんが糖に変化して甘みが増す一方で、発芽しやすくなるというデメリットもあります。
そのため、じゃがいもの保存には、新聞紙に包んで冷暗所に置くのがおすすめです。直射日光が当たらず、風通しの良い場所を選びましょう。夏場など、室温が高くなる場合は、新聞紙やキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存することも可能ですが、その際は発芽しやすくなることを考慮し、早めに使い切るようにしましょう。
注意点として、じゃがいもはエチレンガスを放出する性質があります。リンゴなど、エチレンガスを放出する他の野菜と一緒に保存すると、傷みが早まる可能性がありますので、単独で保存するのが望ましいです。
さつまいもの場合
さつまいもは、じゃがいもとは異なり、低温に弱い性質があります。13℃～15℃程度の、やや暖かい場所で保存するのが理想的です。冷蔵庫に入れると、低温障害を起こし、皮が黒ずんだり、食感が悪くなったりする原因となります。
さつまいもの保存には、新聞紙で一つずつ包み、段ボール箱などに入れて冷暗所に置くのがおすすめです。風通しを良くするために、段ボール箱の底に新聞紙を敷いたり、数カ所に穴を開けたりすると良いでしょう。湿度も適度に保つことが大切なので、乾燥しすぎる場所は避けましょう。
注意点として、さつまいもは皮が傷つくとそこから傷みやすいので、優しく扱うことを心がけましょう。
里いもの場合
里いもは、適度な湿度を好みます。10℃～15℃程度の涼しい場所で保存するのが理想的です。
里いもは、土付きのまま保存すると、比較的長持ちします。土が付いていることで、乾燥を防ぎ、鮮度を保つことができます。土付きの里いもは、新聞紙に包んで、風通しの良い冷暗所に置きます。
土を落とした里いもの場合は、乾燥しないように、湿らせたキッチンペーパーや新聞紙で包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存するのがおすすめです。ただし、長期間の保存には向きませんので、早めに使い切るようにしましょう。
鉄則2：風通しを良くし、乾燥を防ぐ
いも類は、カビや腐敗の原因となる湿気を嫌います。そのため、保存する際は風通しを良くすることが非常に重要です。また、適度な乾燥は発芽を抑制する効果もあります。
具体的な方法
- 新聞紙やキッチンペーパーで包む：いも類は、それぞれ新聞紙やキッチンペーパーで優しく包むことで、余分な水分を吸い取り、乾燥を防ぐことができます。
- カゴや通気性の良い袋に入れる：プラスチック製の密閉容器ではなく、カゴや麻袋、通気性の良い紙袋などに入れて保存すると、空気の循環が良くなり、カビの発生を抑えることができます。
- こすり合わせない：いも類同士を強くこすり合わせると、表面の皮が傷つき、そこから傷みやすくなります。優しく扱いましょう。
- 重ならないように置く：いも類を積み重ねすぎると、下の部分に湿気がこもりやすくなります。できるだけ重ならないように、平らに並べて保存するのが理想的です。
発芽防止のために、光を遮断することも大切です。光に当たると、じゃがいもなどは発芽を促進します。そのため、箱や袋に入れて、暗い場所に保存しましょう。
鉄則3：傷んだものや泥付き・芽付きの状態を把握する
いも類を保存する上で、最初から傷んでいるものや、すでに芽が出始めているものは、他のいも類に影響を与える可能性があるため、分けて保存するか、優先的に使い切るようにしましょう。
具体的な対応
- 傷んだものは取り除く：購入時や収穫時に傷がついている、黒ずんでいる、柔らかくなっているなどのいも類は、すぐに取り除き、早めに調理するか、傷んだ部分を取り除いてから保存します。
- 芽が出始めているものは取り除く：じゃがいもなどに小さな芽が出始めている場合は、手で優しく取り除きます。ただし、大量の芽が出ている場合は、食味が落ちている可能性が高いので、早めに使い切るか、種芋として利用することを検討しましょう。
- 泥付きのまま保存する：里いもなどのように、泥が付いたままの方が長持ちするいも類は、洗わずにそのまま保存します。保存中に土が乾いてきたら、軽く湿らせた新聞紙などで包み直すと良いでしょう。
- 定期的にチェックする：保存中も、定期的にいも類の状態をチェックし、カビが生えたり、傷んだりしているものがないかを確認します。万が一、異常が見られた場合は、速やかに取り除き、他のいも類への影響を防ぎましょう。
まとめ
いも類を美味しく、そして安全に長持ちさせるためには、適切な温度と湿度を保つこと、風通しを良くして乾燥を防ぐこと、そして傷んだものや状態を把握することの3つの鉄則を守ることが重要です。これらの鉄則を実践することで、いも類特有の発芽、カビ、劣化といった問題を最小限に抑え、いつでも新鮮な味わいを楽しむことができるでしょう。
それぞれのいも類に合った保存方法を理解し、日々の食卓に活用していきましょう。
