じゃがいもの「グラタン」:濃厚ソースと相性の良い品種の選び方
じゃがいものグラタンは、クリーミーで濃厚なソースと、ほくほくとしたじゃがいもの食感が織りなす、冬の定番とも言える人気料理です。その美味しさを最大限に引き出すためには、じゃがいもの品種選びが非常に重要となります。グラタンに最適なじゃがいもは、ソースとの絡み、加熱時の食感、そして風味のバランスが取れたものです。ここでは、濃厚ソースと特に相性の良いじゃがいもの品種について、選び方のポイントを詳しく解説し、その他の関連情報も併せてご紹介します。
グラタンに適したじゃがいもの特徴
グラタンに使うじゃがいもに求められる最も重要な特徴は、煮崩れしにくく、ほくほくとした食感を保つことです。濃厚なソースと絡めるため、適度な粘り気がありつつも、形が崩れすぎない品種が理想的です。
でんぷん質のバランス
じゃがいものでんぷん質は、アミロースとアミロペクチンの2種類から構成されています。
- アミロース:粘り気が少なく、煮崩れしやすい傾向があります。
- アミロペクチン:粘り気が強く、煮崩れしにくい傾向があります。
グラタンに使うじゃがいもは、アミロースが少なめでアミロペクチンが多めの品種が適しています。これにより、加熱しても形を保ち、ほくほくとした食感が楽しめます。
水分量
水分量も重要な要素です。水分が多すぎるじゃがいもは、煮崩れしやすく、水っぽい仕上がりになりがちです。一方、水分が少なすぎると、パサついた食感になってしまう可能性があります。グラタンには、適度な水分量を持つ品種が、クリーミーなソースとバランスの取れた食感を生み出します。
風味
じゃがいもの風味も、グラタンの美味しさに影響を与えます。濃厚なソースに負けない、しっかりとした甘みやコクを持つ品種を選ぶことで、より深みのある味わいになります。
濃厚ソースと相性の良いおすすめ品種
上記の特徴を踏まえ、濃厚ソースのグラタンに特におすすめの品種をいくつかご紹介します。
男爵薯(だんしゃくいも)
定番中の定番であり、グラタンにも非常に適した品種です。ほくほくとした食感としっかりとした甘みが特徴で、煮崩れしにくいため、グラタンの形を保ちやすいです。でんぷん質のバランスも良く、クリーミーなソースとの絡みも抜群です。入手しやすく、手軽に美味しいグラタンを作りたい場合に最適です。
メークイン
煮崩れしにくいことで知られ、グラタンやポテトサラダなど、形を保ちたい料理によく使われます。水分量がやや多めですが、加熱するとしっとりとし、濃厚なソースをしっかりと吸い込みます。男爵薯とは少し異なる、なめらかな食感が楽しめます。煮込み料理にも向いています。
キタアカリ
甘みが強く、鮮やかな黄色が特徴の品種です。ほくほく感となめらかさを併せ持ち、濃厚なソースとの相性も抜群です。ビタミンCも豊富で、栄養価も高いのが魅力です。やや高価な場合がありますが、特別なグラタンにしたい時にはおすすめです。
インカのめざめ
糖度が高く、濃厚な甘みと栗のような風味が特徴です。小ぶりで皮も薄いため、下処理も簡単です。煮崩れしにくく、ほくほくとした食感が楽しめます。濃厚なソースと合わせると、甘みが引き立ち、より一層の贅沢感が味わえます。
品種ごとの使い分けと調理のポイント
選ぶ品種によって、調理法や仕上がりに違いが出ます。
男爵薯の調理ポイント
男爵薯はでんぷん質が多めなので、揚げるとホクホクとした食感になりますが、煮込みすぎると崩れやすい傾向があります。グラタンにする場合は、事前に軽く下茹でするか、薄くスライスして火の通りを均一にすると良いでしょう。
メークインの調理ポイント
メークインは煮崩れしにくいため、多少煮込んでも形が残りやすいです。グラタンにする際は、厚めにカットしても問題ありません。しっとりとした食感を活かすために、ソースとの馴染みを重視すると良いでしょう。
キタアカリ、インカのめざめの調理ポイント
キタアカリやインカのめざめは、甘みが強いため、シンプルなソースで素材の味を活かすのもおすすめです。グラタンにする場合は、他の濃厚な食材(ベーコンやチーズなど)と組み合わせると、甘みとコクのバランスが取れます。
その他:じゃがいも選びのヒント
* 時期による違い:新じゃがいもは水分が多く、繊細な味わいですが、グラタンには貯蔵されたじゃがいもの方がでんぷん質が増加し、ほくほく感が増すため適しています。
* 産地による違い:産地によっても品種の特性が若干異なります。迷った場合は、お店の人に相談してみるのも良いでしょう。
* 冷凍・缶詰の利用:手軽に作りたいという場合は、冷凍のカットじゃがいもや水煮の缶詰を利用するのも一案です。ただし、品種によっては食感が変わることがあるため、原材料を確認すると良いでしょう。
まとめ
じゃがいものグラタンをより美味しく仕上げるためには、濃厚ソースとの相性を考慮した品種選びが鍵となります。男爵薯、メークイン、キタアカリ、インカのめざめといった品種は、それぞれの特徴を活かしながら、クリーミーでコクのあるグラタンを作ることができます。今回ご紹介した情報を参考に、ぜひ、あなたのお気に入りのじゃがいもで、絶品のグラタンをお楽しみください。
