いも類の「チップス」:薄切り、揚げ方、ヘルシーな素揚げ
いも類を薄切りにして揚げた「チップス」は、世界中で愛されるスナック食品です。その起源は古く、様々な調理法やバリエーションが存在しますが、ここでは特に「薄切り」「揚げ方」「ヘルシーな素揚げ」に焦点を当て、その魅力を深掘りしていきます。
薄切りの重要性
均一な厚さの追求
チップス作りの最初の、そして最も重要な工程は「薄切り」です。いも類は種類によって水分量やでんぷんの質が異なりますが、どのような芋であっても、均一な厚さにスライスすることが、カリッとした食感と均一な揚がり具合を実現するための鍵となります。厚すぎると中心部が生焼けになったり、油っぽくなったりしやすく、薄すぎると焦げ付きやすくなります。
最適な厚さの目安
一般的に、チップスに適した厚さは1mmから2mm程度と言われています。この厚さであれば、短時間で火が通り、表面がカリッと仕上がります。スライサーを使用すると、この均一な厚さを容易に実現できます。手で切る場合は、包丁の技術が求められますが、根気強く一定の厚さを保つことが重要です。
芋の種類と薄切りの関係
じゃがいもはチップスとして最もポピュラーですが、さつまいも、里芋、かぼちゃなどもチップスに加工されます。じゃがいもはでんぷん質が多く、揚げるとカリッとした食感になります。さつまいもは糖分が多く、揚げることで甘みが増し、香ばしく仕上がります。里芋は独特のぬめりがあり、揚げることでホクホクとした食感と香りが楽しめます。かぼちゃは甘みが強く、ホクホクとした食感と鮮やかな色合いが特徴です。これらの芋の種類によって、最適な薄さや食感の傾向も微妙に異なります。
揚げ方:基本から応用まで
揚げる前の下準備
芋をスライスしたら、でんぷんを洗い流すことが重要です。水にさらすことで、芋の表面のでんぷん質が取れ、芋同士がくっつくのを防ぎ、よりカリッとした食感に仕上がります。水から上げた後は、キッチンペーパーなどでしっかりと水気を拭き取る必要があります。水分が残っていると、油はねの原因になるだけでなく、油の温度が下がり、カラッと揚がらなくなります。
油の温度と揚げ時間
チップスを揚げる際の油の温度は、160℃から180℃が一般的です。温度が高すぎると、表面だけが焦げてしまい、中は生焼けになる可能性があります。逆に低すぎると、油を吸いすぎてしまい、べっとしてしまいます。芋の種類や厚さにもよりますが、一般的には2分から4分程度で揚がります。揚がったチップスは、油から上げた後も余熱で火が通るので、少し早めに引き上げるのがコツです。
二度揚げのテクニック
よりカリッとした食感を追求するなら、二度揚げがおすすめです。一度目の揚げ(150℃程度で、芋が軽く色づくまで)で水分を飛ばし、油から上げて冷まします。二度目の揚げ(170℃から180℃で、きつね色になるまで)で、表面をカラッと仕上げます。この方法で揚げることで、冷めても食感が失われにくく、より本格的なチップスになります。
揚げ方による食感の違い
油で揚げる以外にも、オーブンで焼く方法や、ノンフライヤーを使用する方法もあります。油で揚げるのが最も一般的で、独特の香ばしさとカリッとした食感を生み出します。オーブンで焼く場合は、油の使用量を減らせるためヘルシーですが、油で揚げたようなカリカリ感はやや劣ります。ノンフライヤーは、油を使わずに熱風で調理するため、ヘルシー志向の方におすすめですが、こちらも油で揚げたような食感とは異なります。
ヘルシーな素揚げ:油との上手な付き合い方
素揚げの定義と魅力
「素揚げ」とは、衣などをつけずに、素材そのものを油で揚げる調理法です。いも類のチップスにおける素揚げは、芋本来の風味と旨味を最大限に引き出すことができる調理法と言えます。油の使用量を抑えつつ、カリッとした食感を楽しむことができるため、ヘルシー志向の方にも人気があります。
油の選択と温度管理
素揚げに使用する油は、酸化しにくい植物油(米油、なたね油など)がおすすめです。また、素揚げでは、油の温度管理が非常に重要になります。先述したように、160℃から180℃の適切な温度を保つことで、芋が油を吸いすぎるのを防ぎ、カラッと仕上がります。温度計を使用すると、より正確に管理できます。
油を吸わせない工夫
素揚げで油っぽくなるのを防ぐためには、揚げる前の水気飛ばしと、揚げ終わった後の油切りが肝心です。揚がったチップスは、網などに乗せてしっかりと油を切ります。キッチンペーパーを敷いたバットなどに直接置くと、油が紙に吸い取られてしまいます。
ヘルシーさを高めるためのヒント
素揚げのヘルシーさをさらに高めるためには、揚げる油の量を最小限にする、揚げる時間を短くするといった工夫が考えられます。また、揚げる前に芋に少量の塩をまぶしておくと、風味が増し、満足感も得られます。さらに、揚げる油にハーブなどを入れて香り付けをするのも、風味豊かに仕上がるのでおすすめです。
揚げる以外のヘルシー調理法
素揚げはヘルシーな調理法ですが、さらにヘルシーさを追求したい場合は、オーブンやエアフライヤーの活用も有効です。オーブンで焼く場合は、芋に少量のオリーブオイルを絡めて、200℃程度のオーブンで15分から20分ほど焼きます。エアフライヤーも同様に、少量の油でカリッと仕上げることができます。これらの調理法は、油の使用量を大幅に削減できるため、よりヘルシーなチップスを作ることができます。
まとめ
いも類のチップスは、そのシンプルな調理法だからこそ、素材の良さと調理の腕が問われます。薄切りの均一性、油の温度と時間、そしてヘルシーな素揚げの工夫次第で、家庭でも格段に美味しいチップスを作ることが可能です。今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ様々な種類のいもで、自分好みのチップス作りに挑戦してみてください。
