いも類の「フードロス」:皮や端材を無駄なく活用する

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いも類の「フードロス」:皮や端材を無駄なく活用する

いも類は、私たちの食卓に欠かせない食材であり、様々な料理に活用されています。しかし、調理の過程で発生する皮や端材などが、しばしば「フードロス」として廃棄されてしまう現実があります。本稿では、いも類のフードロス問題に焦点を当て、その現状、原因、そして皮や端材を無駄なく活用するための具体的な方法について、多角的な視点から掘り下げていきます。

いも類フードロスの現状と課題

いも類、特にじゃがいもやさつまいもなどは、一般的に皮をむいて調理されることが多いため、皮の部分のロスが無視できません。また、芽や傷んだ部分を取り除く際にも、可食部が削られてしまうことがあります。これらの「もったいない」が発生する背景には、以下のような要因が考えられます。

消費者側の意識

多くの消費者は、皮をむいたきれいな状態の野菜を好む傾向があります。これは、見た目の良さや、農薬などが付着している可能性への懸念からくるものです。しかし、いも類の皮には、食物繊維やビタミン、ミネラルといった栄養素が豊富に含まれているにも関わらず、その価値が十分に認識されていない場合があります。

調理の手間

皮付きのまま調理するには、洗浄や、場合によっては皮の硬さに応じた下処理が必要になります。忙しい現代社会において、この「手間」が敬遠される理由の一つとなり得ます。また、家庭によっては、皮付きの調理法自体に馴染みがないというケースも考えられます。

流通・加工段階でのロス

収穫後、市場に出荷されるまでの過程でも、傷や形状の不揃いなどを理由に規格外とされ、廃棄されるいも類が存在します。さらに、加工食品の製造工程においても、皮むきや形状調整の際に多くの端材が発生します。これらのロスは、家庭でのロスよりも規模が大きい場合もあります。

皮や端材を無駄なく活用する具体的な方法

これらの課題に対し、いも類の皮や端材を「捨てる」のではなく、「価値あるもの」として捉え直すことで、フードロス削減に大きく貢献できます。以下に、具体的な活用方法を提案します。

栄養価に着目した活用法

いも類の皮には、不溶性食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境の改善や便秘解消に役立ちます。また、ビタミンCやカリウムなども含まれており、栄養価の宝庫と言えます。

皮ごと調理のすすめ

じゃがいも:新じゃがの時期など、皮が薄く柔らかい時期には、皮ごと調理するのがおすすめです。よく洗い、皮ごと素揚げにしてフライドポテトにしたり、オーブンで丸ごと焼いてベイクドポテトにしたりすると、皮の香ばしさと食感を楽しめます。カレーやシチューに入れる際も、皮をむかずに一口大に切ってしまえば、煮崩れ防止にもなり、栄養素の流出も抑えられます。

さつまいも:さつまいもの皮も、食物繊維やアントシアニンなどのポリフェノールが豊富です。皮ごと干して「干し芋」にしたり、細かく刻んでクッキーやパン生地に混ぜ込んだりすることも可能です。また、皮の周辺には甘みが凝縮されているとも言われており、皮ごと使用することで、より深い甘みを感じることができます。

自家製ふりかけ・調味料への転用

いも類の皮を乾燥させて細かく砕き、塩や好みのスパイスと混ぜることで、自家製のふりかけやシーズニングを作ることができます。じゃがいもの皮を乾燥させて香ばしく揚げたものは、ポテトチップスの風味にも似ており、料理のアクセントになります。また、さつまいもの皮を細かく刻んで、醤油やみりんと一緒に煮詰めることで、風味豊かな佃煮にすることもできます。

端材の活用アイデア

調理で削ぎ落とされる部分や、形が不揃いな部分も、工夫次第で美味しく活用できます。

ポタージュ・スープのベースとして

じゃがいもの皮や、じゃがいもをサイコロ状に切った際に出る端材は、ポタージュやスープのベースとして最適です。皮の風味ととろみが、スープに深みとコクを与えてくれます。玉ねぎや他の野菜の端材と一緒に煮込むことで、野菜全体の旨味を引き出すことができます。

かき揚げ・天ぷらの衣に

細かく刻んだいも類の皮や端材を、衣に混ぜ込んでかき揚げや天ぷらにすると、食感と風味がプラスされます。特に、じゃがいもの皮は揚げると香ばしくなり、美味しくいただけます。さつまいもの皮は、甘みがあるため、デザート系の天ぷらにも応用できます。

すりおろし活用

じゃがいもやさつまいもをすりおろす際に発生する、細かな端材や皮の一部は、お好み焼きの生地に混ぜ込んだり、パンケーキの生地に練り込んだりすることで、もっちりとした食感と風味を加えることができます。

加工食品への展開

個人レベルだけでなく、地域や企業レベルでの取り組みも重要です。

地域特産品としての開発

各地域で採れるいも類の特徴を活かし、皮や端材を活用した地域特産品を開発する取り組みは、フードロス削減と地域活性化の両面で効果が期待できます。例えば、農家さんが直売所で提供する、皮ごと調理できるレシピの紹介や、皮を使った加工品の販売などです。

食品加工メーカーとの連携

大手食品加工メーカーなどが、いも類加工の際に発生する皮や端材を、飼料や肥料、さらには新たな食品原料として活用する研究開発を進めることで、大規模なフードロス削減につながる可能性があります。例えば、いも類澱粉の製造過程で出る副産物を、バイオプラスチックの原料にするといった先進的な取り組みも進んでいます。

フードロス削減に向けた意識改革と行動

いも類のフードロス削減は、単に食材を無駄にしないというだけでなく、資源の有効活用、環境負荷の低減、そして食料自給率の向上といった、より大きな社会課題にも繋がっています。

「もったいない」を「価値」へ

まずは、家庭での調理から「もったいない」という意識を「価値」へと転換することが重要です。皮や端材にも栄養があり、工夫次第で美味しく食べられるということを、多くの人に知ってもらうための情報発信や食育活動が不可欠です。

レシピの共有と普及

インターネットやSNSなどを活用し、いも類の皮や端材を使った美味しいレシピを共有し、普及させていくことが有効です。手軽に実践できるレシピから、少し手の込んだものまで、幅広い情報を提供することで、消費者の興味関心を高めることができます。

購入時の選択肢を増やす

スーパーマーケットなどでは、皮付きのまま販売されるいも類を増やす、あるいは、皮付きで調理された加工品などを開発・販売するといった取り組みも、消費者の選択肢を広げ、フードロス削減に繋がるでしょう。

まとめ

いも類のフードロス問題は、私たちの食生活と密接に関わる身近な問題です。しかし、皮や端材を無駄なく活用する方法は多岐にわたり、少しの工夫と意識の転換で、その多くを解決することが可能です。栄養価の高さを再認識し、調理の際に手間を惜しまず、様々な活用法を試してみることで、美味しく、そして賢く、いも類を食卓に取り入れることができるはずです。これは、単に食材を無駄にしないという行為に留まらず、地球環境への配慮、そして持続可能な社会の実現に向けた、私たち一人ひとりの小さな、しかし確かな一歩となるでしょう。