なしの「 SDGs 」:規格外なしを使った商品開発
なしは、そのみずみずしい食感と上品な甘みから、多くの人々に愛されている果物です。しかし、農産物である以上、避けて通れないのが「規格外」の存在です。形が不揃いだったり、表面に傷があったりするために、市場に出回りにくい「規格外なし」は、これまで廃棄されることも少なくありませんでした。しかし、近年、持続可能な社会の実現を目指すSDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりとともに、この規格外なしに新たな価値を見出し、商品開発へと繋げる取り組みが注目されています。
規格外なしの現状と課題
なし農家にとって、規格外なしは収益の低下に直結する課題です。見た目の問題だけで、味や品質には全く問題がないにも関わらず、流通に乗せることができないのは、生産者にとって大きな損失となります。また、本来食べられるはずのものが廃棄されることは、食品ロスという地球規模の環境問題にも繋がっています。
- 収益性の低下:規格外なしの発生は、農家の収入を圧迫します。
- 食品ロスの発生:廃棄される規格外なしは、食料資源の無駄遣いです。
- 環境負荷:廃棄物の処理には、エネルギーやコストがかかります。
規格外なしを活用した商品開発の意義
規格外なしを活用した商品開発は、SDGsの達成に多岐にわたる貢献をします。特に、以下の目標達成に寄与すると考えられます。
- 目標2:飢餓をゼロに:規格外なしを有効活用することで、食料資源を無駄なく利用し、食料の安定供給に貢献します。
- 目標12:つくる責任 つかう責任:食品ロス削減に直接的に貢献し、持続可能な生産・消費パターンを確立します。
- 目標13:気候変動に具体的な対策を:食品ロスの削減は、温室効果ガス排出量の抑制にも繋がります。
- 目標15:陸の豊かさも守ろう:食料資源の有効活用は、土地や水資源への負荷軽減にも繋がります。
規格外なしを使った商品開発の具体的なアイデア
規格外なしの特性を活かした商品開発は、多岐にわたります。以下に具体的なアイデアをいくつか提案します。
加工品としての展開
生食では流通が難しい規格外なしも、加工することでその価値を最大限に引き出すことができます。
- ジャム・コンポート:なしの甘みと酸味は、ジャムやコンポートに最適です。砂糖の量を調整することで、ヘルシーな仕上がりも可能です。
- ドライフルーツ:なしの風味を凝縮したドライフルーツは、手軽なおやつとして人気です。
- ピューレ:離乳食やお菓子作りの材料として活用できるなしのピューレは、幅広い用途が期待できます。
- ジュース・スムージー:ストレートジュースや、他のフルーツと組み合わせたスムージーは、手軽に栄養を摂取できる飲料として需要があります。
- 焼き菓子・スイーツ:なしの甘みと食感を活かしたパウンドケーキ、タルト、マフィンなどの焼き菓子や、ムース、ゼリーなどの冷たいスイーツも魅力的です。
- 調味料:なしの自然な甘みと酸味を活かしたドレッシングやソース、チャツネなども開発可能です。
未利用部分の活用
果肉だけでなく、なしの皮や種といった未利用部分にも価値を見出すことができます。
- なしの皮を使ったハーブティー:乾燥させたなしの皮は、独特の香りと風味を持つハーブティーとして楽しめます。
- なしの種を使ったオイル:なしの種に含まれる成分を抽出したオイルは、美容や健康食品としての利用が期待できます。
体験型商品としての展開
商品そのものだけでなく、体験を通じて規格外なしの魅力を伝えることも重要です。
- 規格外なし収穫体験付き商品:収穫体験と、そこで収穫した規格外なしを使った加工品をセットにした商品は、観光客にも人気を集める可能性があります。
- 規格外なしを使った料理教室:規格外なしの活用方法を学ぶ料理教室は、地域住民の食育にも貢献します。
商品開発における留意点
規格外なしを使った商品開発を成功させるためには、いくつかの留意点があります。
- 品質管理:規格外であっても、品質には問題がないことを明確に伝え、消費者の信頼を得ることが重要です。
- ブランディング:「規格外」というネガティブなイメージを払拭し、むしろ「もったいない」を「おいしい」に変えるポジティブなストーリーを付与するブランディングが効果的です。SDGsへの貢献を前面に出すことも、共感を呼びます。
- ターゲット設定:どのような消費者に向けた商品を開発するのかを明確にすることで、効果的な商品企画やプロモーションが可能になります。
- 協力体制の構築:農家、加工業者、販売者、そして消費者といった、関わる全てのステークホルダーとの良好な協力体制を構築することが不可欠です。
事例紹介
実際に、規格外なしを活用した商品開発は、各地で成功事例が生まれています。
- 地域ブランドとの連携:ある地域では、地元産の規格外なしを使ったジャムが、その地域の特産品として人気を博しています。
- SNSでの情報発信:規格外なしの活用法や、それを使った商品の魅力をSNSで発信し、話題となった事例もあります。
- 企業とのタイアップ:食品メーカーが、規格外なしを原料とした新商品を開発し、話題を集めたケースもあります。
まとめ
規格外なしの活用は、単に食品ロスを減らすだけでなく、新たなビジネスチャンスを生み出し、地域経済の活性化にも繋がる可能性を秘めています。SDGsという大きな目標達成に向け、規格外なしに新たな価値を見出し、それを商品として消費者に届けることは、現代社会において非常に意義深い取り組みと言えるでしょう。農家の方々、企業、そして私たち消費者が一体となって、この取り組みを推進していくことが、より持続可能な社会の実現に貢献していくと考えられます。
