「食品ロス」:いも類の廃棄削減への取り組み

野菜情報

いも類における食品ロス削減への取り組み

はじめに

いも類は、日本において主食としても副食としても広く親しまれている重要な農産物です。しかし、その生産から消費に至る過程で、様々な要因により食品ロスが発生しています。本稿では、いも類における食品ロス削減に向けた具体的な取り組みについて、その現状と今後の展望を詳述します。

いも類における食品ロスの現状と原因

生産段階でのロス

いも類は、畑での栽培中に病害虫の発生や異常気象、栽培技術の未熟さなどによって品質が低下し、規格外品となることがあります。また、収穫時期の遅れや早期収穫によっても、傷みや劣化が生じやすくなります。さらに、機械による収穫作業の際に、いもが傷ついたり、土が付着しすぎていたりすると、選別段階で廃棄されることがあります。貯蔵段階においても、温度・湿度の管理が不十分な場合、カビの発生や発芽、軟化といった劣化が生じ、出荷できなくなるケースが少なくありません。

流通・加工段階でのロス

収穫されたいも類は、選別、洗浄、貯蔵、出荷といった流通プロセスを経ますが、この段階でもロスが発生します。外観の基準を満たさないもの、傷や変色があるもの、サイズが不均一なものなどが選別され、廃棄されることがあります。また、輸送中の振動や衝撃によって傷みが生じることもあります。加工段階では、皮むきやカット、調理の過程で発生する端材や規格外品がロスとなることがあります。特に、フライドポテトやポテトチップスなどの加工品を製造する際には、一定の形状やサイズが求められるため、規格外品は廃棄されやすくなります。

消費段階でのロス

家庭や外食産業、小売店など、消費段階でも食品ロスは発生します。家庭では、購入したものの使いきれずに腐らせてしまったり、調理の際に皮を厚く剥ぎすぎたり、食べ残したりすることが原因です。小売店では、陳列期間中に傷んだり、消費者の好みに合わなかったりして売れ残った商品が廃棄されます。外食産業でも、メニューにない料理を注文されたり、調理したものの提供されなかったりすることでロスが発生することがあります。特に、じゃがいもは比較的日持ちするイメージがありますが、適切な保存方法を知らずに長期間放置してしまうことで、芽が出てしまったり、柔らかくなってしまったりして、消費できなくなるケースも多々見られます。

食品ロス削減に向けた具体的な取り組み

生産段階における取り組み

品種改良と栽培技術の向上:病害虫に強く、貯蔵性に優れた品種の開発が進められています。また、栽培管理の最適化や、収穫・貯蔵技術の改善により、品質低下を防ぐ取り組みも行われています。例えば、土壌診断に基づいた施肥管理や、適切な水分管理、早期発見・早期防除のための病害虫モニタリングなどが挙げられます。

規格外品の活用:見た目は悪くても味や栄養価に問題のない規格外品を、加工品原料や飼料、堆肥などに有効活用する動きが広がっています。これにより、畑での廃棄を減らすことができます。例えば、傷のあるじゃがいもは、ピューレやポテトフレークといった加工品の原料として利用されたり、動物の飼料として活用されたりします。

スマート農業の導入:センサー技術やAIを活用し、生育状況や病害虫の発生をリアルタイムで把握することで、適切な時期に適切な対策を講じ、ロスを未然に防ぐことができます。これにより、収穫時期の最適化や、不要な農薬散布の削減にもつながります。

流通・加工段階における取り組み

コールドチェーンの強化:輸送・貯蔵段階での温度管理を徹底することで、いも類の鮮度を保ち、劣化を防ぎます。これにより、品質保持期間を延ばし、廃棄ロスを削減します。例えば、収穫後すぐに予冷を行い、温度変化の少ない状態で貯蔵・輸送することが重要です。

先進的な貯蔵技術の導入:低酸素貯蔵や冷蔵貯蔵など、いも類の特性に合わせた貯蔵技術を導入することで、長期間の品質維持を可能にし、販売期間の延長や、需要に応じた供給調整を可能にします。

加工技術の高度化と多様化:規格外品を有効活用できる加工技術の開発が進んでいます。例えば、野菜パウダー、フリーズドライ製品、冷凍調理品など、多様な加工品にすることで、保存性を高め、幅広い需要に対応できるようになります。また、皮ごと利用できる加工品なども開発されています。

需要予測精度の向上:AIなどを活用し、過去の販売データや気象情報などを分析することで、より正確な需要予測を行い、過剰な仕入れや生産を防ぎます。これにより、売れ残りによる廃棄を削減します。

消費段階における取り組み

消費者への啓発活動:いも類の適切な保存方法や、調理の際に無駄なく使い切るためのレシピ紹介など、消費者への情報提供を強化しています。例えば、じゃがいもは光に当てると発芽しやすいので、新聞紙などで包んで冷暗所に保管するのが良いという情報などが共有されています。

小売店における工夫:バラ売りや少量パックの導入、値引き販売の促進、規格外品の販売コーナーの設置など、消費者が手に取りやすく、無駄なく購入できるような工夫がされています。

食品ロス削減アプリやサービスの活用:家庭や飲食店で余った食材を有効活用できるマッチングサービスや、賞味期限が近い商品を割引価格で購入できるアプリなどが普及しており、これらを利用することで、家庭での食品ロス削減につながります。

外食産業における取り組み:残さず食べきれる量の提供、食べ残し削減のための啓発、余剰食材の有効活用などが進められています。例えば、ハーフサイズメニューの提供や、持ち帰り容器の用意などが挙げられます。

まとめ

いも類における食品ロス削減は、生産、流通、加工、消費の全ての段階における連携と、それぞれの主体が主体的に取り組むことが不可欠です。技術革新や情報共有、そして何よりも、食品を大切にするという意識の醸成が、持続可能な食品ロス削減社会の実現につながります。今後も、これらの取り組みがさらに進展し、いも類をはじめとする食料資源の有効活用が促進されることが期待されます。