なしの「旬」:和梨、洋梨!品種別で楽しむ 1 年の旬

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なしの「旬」:和梨、洋梨!品種別で楽しむ 1 年の旬

なしは、そのみずみずしい食感と爽やかな甘さで、古くから日本人に親しまれてきた果物です。一概に「なし」と言っても、その種類は多岐にわたり、それぞれに個性豊かな味わいや香りを持ち合わせています。この記事では、なしの「旬」に焦点を当て、和梨と洋梨それぞれの品種を掘り下げ、一年を通してなしを最大限に楽しむための情報をお届けします。

和梨の旬:夏から秋にかけての豊かな恵み

和梨は、その名の通り日本で古くから栽培されてきた品種群です。シャリシャリとした心地よい歯ごたえと、上品な甘さが特徴で、水分も豊富なので夏の暑さを癒すのにぴったりです。和梨の旬は、品種によって多少のずれはありますが、概ね夏から秋にかけての時期となります。

夏の訪れを告げる「幸水」

和梨の代表格とも言えるのが「幸水」です。8月上旬から9月上旬にかけて旬を迎えます。幸水は、甘みが強く、酸味とのバランスが絶妙で、なし特有のジューシーさを存分に味わえます。果肉はきめ細かく、なめらかな口当たりが魅力です。収穫後も比較的日持ちがするため、お盆の時期など、贈答用としても人気があります。

濃厚な甘みと香りが広がる「豊水」

幸水よりもやや遅れて、9月中旬から10月上旬にかけて旬を迎えるのが「豊水」です。豊水は、幸水よりもさらに糖度が高く、濃厚な甘みと芳醇な香りが特徴です。果肉はやや粗めですが、それもまた豊水らしい食感として楽しめます。幸水よりも酸味は控えめで、より甘さを堪能したい方におすすめです。

秋の味覚の王様「新高」

「新高」は、その名の通り、9月下旬から10月中旬にかけて旬を迎える、大きな果実が特徴の品種です。一玉が非常に大きく、まるでメロンのような風格さえ感じさせます。果肉は緻密で、甘みは濃厚ながらも、後味はさっぱりとしています。保存性も高く、秋の味覚として長く楽しむことができます。香りが豊かで、なし本来の風味を存分に味わえる品種です。

晩秋に味わう「かおり」

「かおり」は、10月上旬から11月上旬にかけて旬を迎える、比較的新しい品種です。その名の通り、非常に芳醇で上品な香りが最大の特徴です。味は甘みが強く、酸味は控えめ。洋梨のようなとろけるような食感も一部ありますが、基本的には和梨のシャリシャリ感も残しており、独特の食感と香りのハーモニーを楽しめます。贈答用としても喜ばれる逸品です。

その他の和梨品種

上記以外にも、「二十世紀」(8月下旬~9月下旬)は、青梨の代表格で、爽やかな酸味と甘みのバランスが良く、冷やすとより一層美味しくなります。「長十郎」(9月上旬~9月下旬)は、独特の芳香と、やや粗めの果肉が特徴です。これらの品種も、それぞれの時期に楽しむことで、和梨の奥深さを知ることができます。

洋梨の旬:秋の深まりとともに味わう芳醇さ

洋梨は、和梨とは異なり、収穫後に追熟させることで甘みととろけるような食感が生まれるのが特徴です。その芳醇な香りと、とろけるような滑らかな舌触りは、まさに秋の味覚の宝石と言えるでしょう。洋梨の旬は、概ね秋から初冬にかけてとなります。

秋の女王「ラ・フランス」

洋梨の代名詞とも言えるのが「ラ・フランス」です。10月中旬から11月下旬にかけて旬を迎えます。ラ・フランスは、収穫後、適切な温度と湿度で管理された追熟期間を経て、初めてその魅力を発揮します。完熟したラ・フランスは、特有の芳香と、とろけるような滑らかな果肉、そして上品な甘さが特徴です。皮が薄く、そのまま食べられるのも嬉しい点です。完熟の見極めが重要で、お尻の部分を軽く押してみて、少し弾力を感じるくらいが食べ頃です。

甘みと酸味のバランスが絶妙な「バートレット」

「バートレット」は、8月下旬から9月下旬にかけて収穫される、比較的早い時期に旬を迎える洋梨です。ラ・フランスよりもややしっかりとした食感で、甘みと酸味のバランスが取れています。追熟させることで、より甘みが増し、香りも豊かになります。生食はもちろん、コンポートやジャムにしても美味しくいただけます。

濃厚な甘さと滑らかな食感「ル・コンテス」

「ル・コンテス」は、10月上旬から11月上旬にかけて旬を迎える、濃厚な甘さと非常に滑らかな食感が特徴の洋梨です。果肉はきめ細かく、口の中でとろけるような感覚は格別です。ラ・フランスに似ていますが、より甘みが強く、芳醇な香りが楽しめます。

その他

「マンシュ」は、10月中旬から12月上旬にかけて旬を迎える、比較的大型の洋梨です。甘みが強く、果肉はやや粗めですが、ジューシーで食べ応えがあります。また、「クレメンタイン」(11月上旬~12月上旬)は、甘みが非常に強く、独特の風味を持つ洋梨です。それぞれの品種が持つ個性を理解し、旬の時期に味わうことで、洋梨の多様な魅力を発見できるでしょう。

なしの選び方と保存方法

なしを選ぶ際は、和梨であれば、全体に張りがあり、ずっしりと重みを感じるものを選びましょう。軸がしっかりしているかも確認ポイントです。洋梨は、品種によって熟し具合が異なりますが、一般的には、お尻の部分が少し柔らかくなっているものが追熟しているサインです。傷や打撲がないかも確認しましょう。

保存方法については、和梨は乾燥に弱いため、新聞紙などに包んで冷暗所や冷蔵庫で保存します。ただし、冷やしすぎると風味が落ちることもあるので注意が必要です。洋梨は、追熟させたい場合は常温で保存し、追熟したら冷蔵庫で保存します。一度に食べきれない場合は、カットしてラップに包み、冷蔵庫で保存するとよいでしょう。ただし、カットしたなしは風味が落ちやすいため、早めに食べるのがおすすめです。

まとめ

なしは、和梨と洋梨で旬の時期も味わいも大きく異なります。夏から秋にかけては、シャリシャリとした食感と爽やかな甘みの和梨を、秋の深まりとともに訪れるのは、芳醇な香りととろけるような食感の洋梨を。品種ごとの旬を知ることで、一年を通して様々ななしの美味しさを堪能することができます。ぜひ、それぞれの品種の特性を理解し、最適な時期に、最高の状態でなしを味わってみてください。なしの奥深い世界は、きっとあなたの食卓を豊かにしてくれるはずです。