りんごのSDGs:規格外りんごを活用した商品開発
はじめに
近年、持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして、SDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まっています。食料ロス削減もSDGsの重要なテーマの一つであり、中でも農産物の規格外品活用は、その効果的な解決策として注目されています。
本稿では、りんごにおけるSDGsへの貢献、特に規格外りんごを使った商品開発に焦点を当て、その取り組みの現状、成功事例、そして今後の展望について掘り下げていきます。
規格外りんごとは?
規格外りんごの定義
「規格外りんご」とは、見た目の形状、大きさ、色、傷の有無などの理由で、市場に出回る一般的な「規格品」としての基準を満たさないりんごのことを指します。例えば、
- 形がいびつ
- 大きすぎる・小さすぎる
- 表面に傷や色むらがある
- 一部に虫食いがある
といったものが挙げられます。これらは、味や栄養価にはほとんど問題がないにも関わらず、見た目の基準で流通に乗らないことが少なくありません。
規格外りんごの現状と課題
日本では、毎年多くのりんごが規格外として廃棄されています。これは、農家さんの収入減に繋がるだけでなく、貴重な食料資源の無駄遣いであり、環境負荷の増大にも繋がります。この食料ロスを減らすことは、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」に直結する重要な課題です。
規格外りんごが直面する課題としては、
- 流通ルートの確立
- 消費者への理解促進
- 加工に適した品種や状態の見極め
などが挙げられます。これらの課題を克服することで、規格外りんごの有効活用が可能になります。
規格外りんごを活用した商品開発
商品開発の意義とメリット
規格外りんごを活用した商品開発は、
- 食料ロス削減による環境負荷軽減
- 農家さんの収益安定化への貢献
- 消費者への安価で高品質なりんご製品の提供
- 新たなブランドイメージの構築
といった多岐にわたるメリットをもたらします。特に、見た目にこだわらない加工品であれば、規格外りんごの持つ本来の美味しさを十分に活かすことができます。
具体的な商品開発の例
規格外りんごを活用した商品開発は、近年様々な分野で進んでいます。代表的な例を以下に挙げます。
加工食品
最もポピュラーな活用方法として、加工食品が挙げられます。
- りんごジュース・シードル
絞りやすい品種や、傷んだ部分を取り除けば問題なく加工できるりんごは、ジュースやシードル(りんごのお酒)の原料として最適です。風味豊かなジュースや、芳醇な香りのシードルが生まれています。
- ジャム・コンポート
煮詰めることで、形状や傷は気にならなくなり、りんご本来の甘みと酸味を生かしたジャムやコンポートは、規格外りんごの活用にうってつけです。パンに塗ったり、ヨーグルトのトッピングにしたりと、幅広い用途で楽しめます。
- ドライフルーツ・アップルチップス
薄くスライスして乾燥させることで、手軽なおやつとして人気があります。保存性も高いため、規格外りんごの長期的な活用にも繋がります。
- 焼き菓子・ペストリー
アップルパイやマフィン、パウンドケーキなどの焼き菓子に、カットしたりんごを練り込むことで、風味豊かに仕上がります。家庭でも手軽に作れるレシピとして提案されることもあります。
- 惣菜・調味料
カレーの隠し味や、豚肉料理のソースなど、料理のアクセントとしてもりんごは活躍します。酸味や甘みが料理に深みを与えます。
その他
加工食品以外にも、規格外りんごの活用方法は広がっています。
- 化粧品・スキンケア用品
りんごに含まれるポリフェノールやビタミンなどの美容成分に着目し、化粧水や石鹸、リップクリームなどの原料として活用する動きもあります。りんごの持つ自然の恵みを、美容分野で活かす試みです。
- 肥料・堆肥
未利用のまま廃棄するのではなく、農地に戻すことで土壌改良に役立てることも可能です。循環型の農業を推進する上で、重要な役割を果たします。
地域社会との連携とSDGsへの貢献
農家との直接契約
多くの商品開発において、農家さんとの直接的な連携が重要視されています。規格外りんごを適正な価格で買い取ることで、農家さんの経営安定に貢献し、持続的な農業を支援することができます。
このような取り組みは、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」にも繋がります。
消費者への啓発活動
規格外りんご製品の販売だけでなく、その背景にあるSDGsへの貢献や、りんごの美味しさを伝える啓発活動も重要です。パッケージにストーリーを記載したり、イベントなどを開催したりすることで、消費者の理解と共感を深めることができます。
これにより、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」の達成に、消費者も参加する形が生まれます。
地域経済の活性化
規格外りんごの活用は、新たな商品開発や販売チャネルの開拓を通じて、地域経済の活性化にも貢献します。地元の農産物を使った商品が生まれることで、地域ブランドの向上や、新たな雇用の創出にも繋がる可能性があります。
今後の展望
技術革新による可能性
近年、AIやIoTなどの技術を活用し、りんごの品質をより正確に判断したり、傷んだ部分だけを効率的に除去したりする技術も開発されています。これらの技術革新は、規格外りんごの活用範囲をさらに広げ、より付加価値の高い商品開発を可能にするでしょう。
多様な連携の深化
今後、食品メーカーだけでなく、異業種との連携もさらに進むことが予想されます。例えば、IT企業と連携して、規格外りんごの流通プラットフォームを構築したり、アパレル業界と連携して、りんごの模様をデザインに取り入れた商品を開発したりするなど、斬新なアイデアが生まれる可能性があります。
持続可能な消費文化の醸成
規格外りんごの活用は、単なる食品ロス削減にとどまらず、地球環境への配慮や、生産者への感謝といった、より深い消費文化を醸成するきっかけとなります。消費者が「もったいない」という気持ちを大切にし、倫理的な消費を選択する社会が、SDGsの達成に不可欠です。
まとめ
りんごの規格外品を活用した商品開発は、食料ロス削減という喫緊の課題解決に貢献するだけでなく、農家支援、地域経済活性化、そして持続可能な消費文化の醸成といった、多角的なSDGsへの貢献が期待できる取り組みです。
今後も、技術革新や多様な連携を通じて、規格外りんごが持つ可能性を最大限に引き出し、より豊かで持続可能な社会の実現に繋げていくことが重要です。
