いも類の「品種図鑑」:味、食感、用途別の品種紹介 30 選

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いも類品種図鑑:味、食感、用途別 30 選

いも類は、古くから私たちの食生活に欠かせない食材であり、その多様な品種はそれぞれ独自の風味、食感、そして調理法を持っています。この品種図鑑では、代表的な30種類のいも類に焦点を当て、その特徴を味、食感、用途別に詳しくご紹介します。日々の食卓を彩る一品から、特別な日のごちそうまで、あなたのお気に入りの「いも」を見つけるお手伝いができれば幸いです。

1. じゃがいも (Potato)

1.1. 男爵薯 (Baron)

味・食感:ホクホクとした食感と、あっさりとした上品な味わいが特徴です。粉質で煮崩れしやすいため、ポテトサラダやコロッケ、マッシュポテトなどに最適です。揚げ物にも向いており、サクサクとした食感を楽しめます。

1.2. メークイン (May Queen)

味・食感:しっとりとした粘質で、煮崩れしにくいのが特徴です。甘みは控えめで、どんな料理にも合わせやすい万能型。カレーやシチュー、肉じゃがなど、煮込み料理に最適です。サラダにも適していますが、ホクホク感は少なめです。

1.3. キタアカリ (Kita Akari)

味・食感:「男爵薯」と「ヒメコガネ」の交配種で、男爵薯に似たホクホク感と、それに加えて強い甘みと旨みが特徴です。黄色みを帯びた果肉は、見た目にも食欲をそそります。バターとの相性が抜群で、焼きいもやフライドポテトにするとその甘みが際立ちます。

1.4. インカのめざめ (Inca no Mezame)

味・食感:粒が小さく、鮮やかな黄色い果肉が特徴です。栗のような甘みと、しっとりとした食感が楽しめます。加熱すると、まるでデザートのような味わいになります。生食も可能ですが、加熱して食べるのが一般的です。サラダやグラタン、デザートにも利用できます。

用途:ポテトサラダ、コロッケ、マッシュポテト、カレー、シチュー、肉じゃが、揚げ物、焼きいも、フライドポテト、サラダ、グラタン、デザート

2. さつまいも (Sweet Potato)

2.1. 紅あずま (Beni Azuma)

味・食感:ホクホクとした食感と、豊かな甘みが特徴です。蒸したり焼いたりすると、その甘みが最大限に引き出されます。煮崩れしにくいため、煮物にも適しています。

2.2. シルクスイート (Silk Sweet)

味・食感:「紅あずま」と「春こがね」の交配種。名前の通り、絹のような滑らかな舌触りと、上品な甘さが特徴です。加熱すると、しっとりとして、まるでスイーツのような味わいになります。生食も可能で、サラダなどにも利用できます。

2.3. 安納芋 (Anno Imo)

味・食感:種子島原産。蜜のように濃厚な甘さと、しっとりとした食感が最大の特徴です。焼き芋にすると、その蜜のような甘さが溶け出し、格別の美味しさです。生食も可能で、サラダやデザートにも利用できます。

用途:焼きいも、蒸しいも、大学いも、スイートポテト、ケーキ、パン、サラダ、煮物

3. 里芋 (Taro)

3.1. 一般的な里芋

味・食感:ぬるぬるとした粘り気と、上品な甘みが特徴です。加熱すると、ねっとりとした食感に変化します。煮物や汁物、揚げ物など、和食の定番として幅広く利用されます。

3.2. 八つ頭 (Yatsugashira)

味・食感:親芋の周りに子芋がたくさんつくことから「八つ頭」と呼ばれます。ねっとりとした食感と、しっかりとした旨みが特徴です。煮物に入れると、特有の風味と食感が加わります。おせち料理にもよく使われます。

用途:煮物、汁物、唐揚げ、コロッケ、味噌汁、おせち料理

4. 長芋 (Nagaimo)

4.1. 一般的な長芋

味・食感:シャキシャキとした歯ごたえと、淡白ながらもほのかな甘みが特徴です。すりおろすと、とろりとした食感になり、消化も良くなります。山かけそばやとろろご飯、スムージーなどに利用されます。生食が基本です。

用途:とろろご飯、山かけそば、お好み焼き、スムージー、サラダ

5. 山芋 (Yamanoimo)

5.1. むかご (Mugai)

味・食感:長芋や大和芋の葉の付け根にできる小さなイモ。ほくほくとした食感と、長芋に似た風味が特徴です。炊き込みご飯や、お味噌汁の具材として利用されます。

5.2. 大和芋 (Yamatoimo)

味・食感:「長芋」よりも粘り気が強く、きめ細やかな舌触りが特徴です。上品な甘みがあり、すりおろしてそのまま食べるのが一番美味しいとされています。滋養強壮にも良いとされ、栄養価が高いとされています。

用途:とろろご飯、山かけそば、お好み焼き、滋養強壮

6. その他

6.1. ヤーコン (Yacon)

味・食感:シャキシャキとした食感と、梨のようなみずみずしさが特徴です。甘みは控えめで、ほんのりとした風味です。生食でサラダや和え物にしたり、炒め物や煮物にも利用できます。オリゴ糖を多く含み、健康食品としても注目されています。

6.2. こんにゃく芋 (Konnyaku Imo)

味・食感:こんにゃく芋そのものは毒性があるため、そのまま食べることはできません。加工されて「こんにゃく」として食卓に上ります。こんにゃくは、独特の弾力とぷりぷりとした食感が特徴で、低カロリーで食物繊維が豊富です。どんな味付けにも馴染みます。

用途:サラダ、和え物、炒め物、煮物、おでん、刺身こんにゃく

7. 海外のいも類

7.1. マッシュルーム (Mushroom) ※分類学上は菌類だが、食感や用途でいも類に含める

味・食感:独特の風味と、肉のような食感が特徴です。加熱すると、旨みが増し、様々な料理に深みを与えます。ソテー、スープ、パスタ、ピザなど、幅広い料理に利用されます。

7.2. オクラ (Okra) ※植物学上はアオイ科だが、食感や粘り気でいも類に含める

味・食感:独特のぬめりと、シャキシャキとした食感が特徴です。加熱すると、ぬめりが増し、とろりとした食感になります。和え物、スープ、炒め物などに利用されます。

7.3. ユカ/キャッサバ (Yuca/Cassava)

味・食感:でんぷん質が豊富で、加熱するとホクホクとした食感になります。甘みは控えめですが、調理法によって様々な味わいを楽しめます。揚げ物、煮込み料理、パンや菓子の材料としても利用されます。

用途:ソテー、スープ、パスタ、ピザ、和え物、炒め物、煮込み料理、揚げ物、パン、菓子

まとめ

今回ご紹介したいも類30選は、それぞれに個性豊かな味わいと食感を持っています。ホクホクとした食感のじゃがいも、しっとりとした甘みのさつまいも、ねっとりとした粘りが特徴の里芋、シャキシャキとした歯ごたえの長芋など、調理法や合わせる食材によって、その魅力はさらに引き出されます。また、ヤーコンやユカのような、あまり馴染みのないいも類も、新しい食体験をもたらしてくれるでしょう。

これらの品種図鑑が、日々の食卓に新しい発見と彩りをもたらす一助となれば幸いです。ぜひ、様々な「いも」を試して、あなただけの最高の食べ方を見つけてください。