いも類の「皮」:皮ごと食べるメリットと洗い方のコツ

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いも類の「皮」:皮ごと食べるメリットと洗い方のコツ

いも類は、私たちの食卓に欠かせない食材ですが、その「皮」の部分には、見過ごせない栄養価と、美味しく食べるための工夫が隠されています。多くの人が、いも類の皮をむいて調理していますが、実は皮ごと食べることで、より多くの健康効果を得られるのです。

皮ごと食べるメリット

いも類の皮には、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、私たちの体にとって重要な栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養素は、皮のすぐ下に多く蓄えられているため、皮をむいてしまうと、その多くが失われてしまいます。

食物繊維の宝庫

いも類の皮に最も多く含まれる栄養素の一つが、食物繊維です。特に水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方がバランス良く含まれており、それぞれ異なる働きで私たちの健康をサポートします。

  • 不溶性食物繊維:便の量を増やし、腸のぜん動運動を活発にする働きがあります。これにより、便秘の解消や、腸内環境の改善に役立ちます。また、満腹感を得やすくするため、食べ過ぎを防ぎ、ダイエットにも効果的です。
  • 水溶性食物繊維:血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。食後の血糖値の急激な変動は、糖尿病のリスクを高めることが知られていますが、水溶性食物繊維を摂取することで、これを緩和することができます。また、コレステロールの吸収を抑える働きもあり、生活習慣病の予防にも繋がります。

皮ごと食べることで、これらの食物繊維を最大限に摂取することができ、腸内環境を整え、健康的な体づくりに貢献します。

ビタミン・ミネラルも豊富

皮には、ビタミンC、ビタミンB群、カリウム、マグネシウムなどのビタミンやミネラルも多く含まれています。これらの栄養素は、体の様々な機能を正常に保つために不可欠です。

  • ビタミンC:抗酸化作用があり、体の老化を防ぐ効果や、免疫力を高める効果が期待できます。
  • ビタミンB群:エネルギー代謝を助け、疲労回復に効果的です。
  • カリウム:体内の余分なナトリウムを排出し、血圧を正常に保つ働きがあります。
  • マグネシウム:骨や歯の健康維持、筋肉や神経の機能維持に重要な役割を果たします。

これらの栄養素は、皮をむくことで失われやすいため、皮ごと調理することで、より多くの栄養素を効率的に摂取できるようになります。

ポリフェノールによる抗酸化作用

いも類の皮には、ポリフェノールと呼ばれる抗酸化物質も含まれています。ポリフェノールは、体内の活性酸素を除去し、細胞の損傷を防ぐ働きがあります。これにより、老化防止や生活習慣病の予防に繋がることが期待されています。

例えば、さつまいもの皮にはアントシアニンというポリフェノールが含まれており、これはブルーベリーなどにも含まれる成分で、強い抗酸化作用を持つことが知られています。

風味と食感の向上

皮ごと調理することで、いも類特有の風味や香りが増し、より一層美味しく食べられることがあります。また、皮の程よい食感が、料理にアクセントを加え、満足感を高める効果もあります。

皮ごと食べる際の注意点と洗い方のコツ

皮ごと食べるメリットは大きいですが、調理前に適切な下処理を行うことが重要です。特に、農薬や汚れが付着している可能性があるため、丁寧な洗い方が不可欠です。

泥や汚れをしっかり落とす

いも類は土の中で育つため、泥や土が付着していることがほとんどです。まずは、流水で優しく洗い流すことから始めましょう。ゴシゴシと強くこすりすぎると、皮の薄い部分が傷ついてしまうことがあるので注意が必要です。

たわしやブラシを活用

流水だけでは落としきれない泥や汚れは、たわしや野菜用のブラシを使って丁寧に落とします。特に、でこぼこした部分や芽の周りは汚れが溜まりやすいので、念入りに洗いましょう。ただし、あまり硬いブラシを使うと皮を傷つけてしまう可能性があるので、適度な硬さのブラシを選ぶことが大切です。

重曹や塩を使った洗浄(オプション)

よりしっかりと汚れを落としたい場合や、風味に影響する可能性のある土臭さを軽減したい場合には、重曹や塩を使った洗浄法が効果的です。

  • 重曹洗浄:ボウルに水を張り、重曹を少量(水1リットルに対して小さじ1程度)溶かし、いも類を数分間浸け置きます。その後、優しくこすり洗いをしてから、流水でよくすすぎます。重曹には研磨作用があり、汚れを浮かせる効果があります。
  • 塩洗浄:ボウルに水と少量の塩を入れ、いも類を軽くこするように洗います。塩の粒子が研磨剤の役割を果たし、汚れを落としやすくします。

これらの方法は、皮の薄い、デリケートな野菜にも応用できますが、いも類の場合、多少の土臭さは風味の一部とも考えられるため、必ずしも行う必要はありません。お好みで試してみてください。

芽を取り除く

いも類は、発芽した部分にソラニンという毒性のある成分を含むことがあります。見た目にも悪いですし、食味も損なうため、発芽している場合は、包丁の角などでしっかりと取り除きましょう。芽の周りの緑色になった部分も、念入りに取り除いてください。

調理法による下処理の工夫

皮ごと調理する際の洗い方や下処理は、調理法によっても工夫すると良いでしょう。

  • 蒸す・焼く:皮の風味や栄養を最大限に活かしたい場合に最適です。丁寧に洗った後、そのまま調理します。
  • 煮る・揚げる:皮が硬くなりすぎるのが気になる場合は、調理前に軽く皮むき器で表面を剥いたり、厚めに剥いたりするのも一つの方法です。ただし、皮のすぐ下の部分まで剥いてしまうと、栄養素が失われやすくなるため、薄く剥くことを意識しましょう。

まとめ

いも類の「皮」は、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールといった、私たちの健康維持に不可欠な栄養素の宝庫です。皮ごと食べることで、これらの栄養素を効率的に摂取でき、腸内環境の改善、生活習慣病の予防、美容効果など、様々な健康効果が期待できます。

皮ごと調理する際は、泥や汚れをしっかりと落とすことが重要です。流水での丁寧な洗浄に加え、たわしやブラシ、場合によっては重曹や塩を活用することで、安全に美味しく皮ごと食べることができます。また、発芽している場合は、毒性のある成分を含むため、必ず芽を取り除くようにしましょう。

これまで皮をむいてしまっていた方も、ぜひ一度、いも類の皮ごと調理に挑戦してみてはいかがでしょうか。風味豊かで、より栄養価の高い、新しいいも料理の世界が広がるはずです。