いも類加工品:ポテトチップス、粉末、フレークの製造工程
ポテトチップスの製造工程
ポテトチップスは、世界中で愛されるスナック菓子であり、その製造工程はいくつかの重要なステップから成り立っています。主な原料となるのは、ジャガイモです。
原料の選定と受け入れ
ポテトチップス製造に適した品種のジャガイモが厳選されます。加工用に栽培される品種は、でんぷん含量が高く、油 absorptie が少ないという特徴を持っています。収穫後、工場に運ばれたジャガイモは、異物混入がないか、傷や病気がないかなどの品質検査を受けます。
洗浄
選定されたジャガイモは、まず徹底的な洗浄を受けます。大きな回転式の洗浄機やシャワーノズルを使用し、土や泥、その他の付着物を取り除きます。この工程は、最終製品の品質と衛生状態を保証するために非常に重要です。
皮むき
洗浄後、ジャガイモの皮がむかれます。皮むきには、機械的な方法が一般的に用いられます。例えば、回転するドラム内でジャガイモ同士をこすり合わせる方式や、高圧の蒸気や水流を利用して皮を剥がす方式などがあります。手作業での皮むきは、現代の大量生産においてはほとんど行われません。
スライス
皮をむかれたジャガイモは、薄くスライスされます。スライスする厚さは、ポテトチップスの食感と仕上がりに大きく影響します。一般的には1mmから2mm程度の厚さにスライスされ、この工程には高速回転する刃を持つスライサーが使用されます。スライスされたポテトは、でんぷんを洗い流すために水で洗浄されることもあります。これにより、チップス同士がくっつくのを防ぎ、よりクリスピーな食感を得ることができます。
乾燥
スライスされたジャガイモは、油で揚げる前に余分な水分を取り除くために乾燥されます。熱風乾燥機などが使用され、表面の水分を飛ばします。これにより、油で揚げた際に均一に加熱され、パリッとした食感に仕上がります。
フライ(加熱調理)
乾燥されたポテトスライスは、高温の植物油(通常はなたね油、ひまわり油、パーム油など)で揚げられます。連続式のフライヤーが使用され、一定の温度と時間で揚げることで、均一な色と食感のポテトチップスが作られます。揚げる温度と時間は、チップスの厚さや品種によって調整されます。この工程で、ポテトの水分が蒸発し、カリッとした食感と香ばしい風味が生まれます。
脱油
揚げ終わったポテトチップスは、余分な油を取り除くために脱油工程を経ます。振動する網の上を通過させたり、遠心分離機を使用したりして、表面についた油を落とします。これにより、油っぽさを抑え、より食べやすい製品になります。
味付け
脱油されたポテトチップスは、調味料を均一にまぶすために味付けされます。回転するドラムにチップスと調味料を投入し、全体にしっかりと味が付くようにします。塩味、コンソメ味、バーベキュー味など、様々なフレーバーがあります。
冷却と包装
味付けされたポテトチップスは、冷却され、その後、自動包装機によって袋に詰められます。製品の酸化や湿気による劣化を防ぐため、窒素ガスを充填した袋に封入されることが一般的です。
ジャガイモ粉末の製造工程
ジャガイモ粉末は、製菓、製パン、料理の分野で幅広く利用される加工品です。その製造工程は、ポテトチップスとは異なり、ジャガイモを乾燥させて粉砕する点が特徴です。
原料の選定と洗浄
ポテトチップスと同様に、高品質のジャガイモが選定され、洗浄されます。粉末にするため、でんぷん含量が高く、風味の良い品種が好まれます。
皮むきとスライス
ジャガイモの皮をむき、細かくスライスまたは破砕します。細かくすることで、後の乾燥工程の効率が向上します。
蒸煮または茹で
スライスまたは破砕されたジャガイモは、蒸煮または茹でられます。これにより、ジャガイモの細胞構造が破壊され、乾燥しやすく、また粉末にした際の溶解性が向上します。
乾燥
蒸煮または茹でられたジャガイモは、乾燥されます。乾燥方法にはいくつか種類があります。
- 噴霧乾燥(スプレードライ):ジャガイモをピューレ状にし、熱風中に噴霧して瞬時に乾燥させる方法。微細な粉末が得られます。
- ドラム乾燥(ローラー乾燥):熱せられた回転ドラムにジャガイモのペーストを薄く広げ、乾燥させる方法。
- 熱風乾燥:熱風を当てることで乾燥させる方法。
乾燥の度合いは、粉末の品質に大きく影響するため、注意深く管理されます。
粉砕
乾燥されたジャガイモは、微細な粉末になるまで粉砕されます。ハンマーミルやボールミルなどの粉砕機が使用されます。粉砕の細かさも、用途に応じて調整されます。
ふるい分けと混合
粉砕された粉末は、均一な粒度にするためにふるい分けられます。必要に応じて、他の材料と混合されることもあります。
包装
品質を保つために、密閉性の高い容器に包装されます。
ポテトフレークの製造工程
ポテトフレークは、マッシュポテトの素などに利用される加工品で、ポテト粉末よりもやや粗い粒子状です。
原料の選定と洗浄
ポテト粉末と同様に、でんぷん含量が高く、加工に適したジャガイモが選ばれます。洗浄も丁寧に行われます。
皮むきと蒸煮
ジャガイモの皮をむき、蒸煮または茹でて柔らかくします。
マッシュ(潰す)
蒸煮されたジャガイモは、機械的に潰され、マッシュ状になります。この工程で、ジャガイモの細胞が破壊され、乾燥しやすくなります。
乾燥
マッシュ状になったジャガイモは、ドラム乾燥機などを用いて乾燥されます。ドラム乾燥機は、熱せられた回転ドラムにマッシュポテトを薄く広げて乾燥させるため、フレーク状の製品が得られやすいという特徴があります。乾燥温度と時間は、フレークの品質に影響します。
冷却と粉砕(必要に応じて)
乾燥されたポテトフレークは、冷却されます。その後、製品の用途に応じて、粗めに粉砕されることもあります。ポテト粉末のような微細な粉砕ではなく、フレーク状の形状をある程度保ちます。
包装
品質を保つために、密閉性の高い容器に包装されます。
まとめ
ポテトチップス、ジャガイモ粉末、ポテトフレークは、いずれもジャガイモを原料としていますが、それぞれの製造工程には明確な違いがあります。ポテトチップスは、薄くスライスして油で揚げることでカリッとした食感を生み出します。一方、ジャガイモ粉末は、ジャガイモを乾燥させて微細な粉末にし、溶解性や汎用性を高めています。ポテトフレークは、ジャガイモをマッシュして乾燥させ、フレーク状の形状にすることで、マッシュポテトの素などとして利用しやすいように加工されています。これらの加工品は、ジャガイモの風味を活かしつつ、それぞれの特性に応じた用途で私たちの食生活を豊かにしています。各工程での温度、時間、機械的な処理は、最終製品の食感、風味、保存性に大きく影響するため、厳密に管理されています。
