いも類の「ネーミング」:いも類にまつわるユニークな名前の由来

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いも類にまつわるユニークな名前の由来

いも類は、私たちの食卓に欠かせない存在であり、その種類も豊富です。しかし、それぞれのいもに付けられた名前の由来を深く知る機会はあまりないかもしれません。今回は、いも類にまつわるユニークな名前の由来や、その背後にある物語について、深く掘り下げていきます。

ジャガイモ:奇妙な響きの「馬鈴薯」という漢字

まず、最も身近な存在であるジャガイモ。「ジャガイモ」という名前は、オランダ語の「aardappel」(アードアッペル)が語源とされています。これは「大地のリンゴ」という意味です。しかし、日本で一般的に使われる「馬鈴薯」という漢字表記は、一体どこから来たのでしょうか。

「馬鈴薯」の漢字の由来

「馬鈴薯」の漢字表記の由来については、いくつかの説がありますが、有力なのは「馬鈴」という言葉と、その形状との関連性です。

  • 形状説:馬が首にぶら下げる鈴(馬鈴)に似ているという説です。確かに、丸みを帯びた形状や、土から掘り出した際の様子が、馬鈴を連想させるかもしれません。
  • 原産地・伝来説:原産地である南米アンデス地方で、現地語で「馬鈴」を意味する言葉があったという説もあります。また、伝来した当初、その奇妙な形状や性質から「馬が食べるためのもの」という意味合いで「馬鈴」と名付けられたという説も存在します。
  • 音訳説:「ジャガイモ」の音に近い言葉を漢字で当てはめたという説も考えられます。しかし、「馬鈴薯」という漢字が持つ意味合いとは直接的な関連が見出しにくいです。

いずれの説も決定的な証拠があるわけではありませんが、「馬鈴薯」という漢字表記は、ジャガイモの独特な形状や、それに対する当時の人々の印象を反映した、非常にユニークなネーミングと言えるでしょう。

サツマイモ:地域名の「薩摩」が冠された理由

次に、庶民の味方、サツマイモです。その名前には「薩摩」という地名が冠されています。これは、サツマイモが伝来した当初、薩摩藩(現在の鹿児島県)で盛んに栽培され、広まったことに由来します。

伝来の経緯と「薩摩」

サツマイモは、17世紀初頭に中国から琉球(沖縄)を経由して、薩摩に伝わったとされています。薩摩藩では、痩せた土地でもよく育ち、凶作の救荒作物としてその価値が見出され、積極的に栽培が奨励されました。その結果、サツマイモは薩摩地方を中心に日本全国に広まっていきました。

そのため、「薩摩から伝わった、芋」という意味で「薩摩芋」、やがて「サツマイモ」と呼ばれるようになったのです。これは、産地や伝来地がそのまま名前になった、非常に分かりやすい例と言えます。

里芋:その「里」に込められた意味

日本人にとって馴染み深い里芋。「里芋」の「里」という言葉には、どのような意味が込められているのでしょうか。

「里」の由来

「里芋」の「里」には、主に以下の二つの説が考えられています。

  • 「里」=「人里」説:古くから、人の住む「里」の近く、つまり畑などで栽培されてきたことに由来するという説です。野生の植物ではなく、人々の手によって栽培され、身近な存在であったことを示唆しています。
  • 「里」=「サト」という音説:サトウキビなど、他の「サト」がつく植物との関連で、その音から名付けられたという説もあります。

いずれにしても、「里芋」という名前は、人々の生活圏で親しまれてきたという、その歴史と文化を物語っています。

ヤマトイモ:なぜ「大和」なのか?

粘り気が特徴のヤマトイモ。その名前の「大和」は、日本の古称である「大和」を連想させますが、その由来はどのようなものでしょうか。

「大和」の由来

ヤマトイモの「大和」という名前には、いくつかの説があります。

  • 品質の高さ・本地説:古くから日本(大和)で栽培されており、品質が良いことから「大和」の名がついたという説です。
  • 形・姿説:その独特の形状が、何か「大和」的なもの、あるいは日本の伝統的な図柄を思わせたという説も考えられます。
  • 品種改良説:日本(大和)で品種改良された、あるいはその代表的な品種であるという説も有力です。

ヤマトイモは、その粘り気や風味が独特で、贈答品としても用いられる高級なイメージがあります。そのため、「大和」という名が、その品質の高さや日本らしさを強調しているとも考えられます。

長芋:その形状からくるストレートな名前

すらりと長い形状が特徴の長芋。その名前は、その姿をそのまま表した、非常に分かりやすいものです。

「長芋」の由来

「長芋」の「長」は、その細長く伸びた形状に由来しています。これは、他のいも類と比較して、その特徴が際立っているため、直接的な表現で名付けられたと考えられます。

しかし、一説には、中国の「長山」という地名に由来するという説や、「長」という漢字が持つ「優れている」「立派」といった意味合いから、その品質や姿の良さを表しているという解釈もあります。

その他のユニークな名前の由来

上記以外にも、いも類にはユニークな名前を持つものが数多く存在します。

  • こんにゃくいも(こんにゃく):「こんにゃく」という名前の由来は諸説ありますが、「こんにゃく」という音を漢字で当てはめたという説が有力です。また、その凝固する性質から、ある種の「こんにゃく」のようなもの、という意味合いも含まれているかもしれません。
  • タピオカ(キャッサバ):タピオカは、キャッサバという植物の根から作られるデンプンです。キャッサバという名前は、ブラジル先住民の言葉「カシバ」に由来すると言われています。

まとめ

いも類の名前の由来を掘り下げてみると、その形状、伝来の経緯、栽培された地域、そして当時の人々の感覚などが、ユニークな名前に込められていることが分かります。単なる食材としてだけでなく、それぞれの名前の背後にある物語を知ることで、いも類への愛着も一層深まるのではないでしょうか。