いも類の「保存食」:いもを使ったピクルス、乾燥いもの作り方

野菜情報

いも類の保存食

いも類は、その豊富な栄養価と保存性の高さから、古くから世界中で重要な食料源として利用されてきました。生での保存期間が限られる野菜が多い中、いも類は適切な処理を施すことで、長期保存が可能となり、食料不足の時期や非常食としても重宝されます。ここでは、いも類を保存食として活用するためのピクルスと乾燥いもの作り方、そしてそれぞれの特徴について、詳しく解説します。

いもを使ったピクルス

ピクルスは、野菜を酢や香辛料に漬け込むことで保存性を高め、独特の風味を加える調理法です。いも類をピクルスにすることで、シャキシャキとした食感と爽やかな酸味を楽しむことができ、温かい料理の付け合わせや、お弁当のおかずとしても活躍します。

ピクルス作りの基本

いも類のピクルス作りには、一般的に加熱処理と漬け込みの工程が必要です。いもの種類によって、下処理の方法や漬け込み時間が多少異なります。

材料

* 主材料:さつまいも、じゃがいも、里芋、山芋など(お好みのいも類)
* 酢:米酢、穀物酢、りんご酢など(お好みのもの)
* 砂糖:グラニュー糖、きび砂糖など(甘みはお好みで調整)
* 塩:食塩
* 香辛料:ローリエ、鷹の爪、黒粒こしょう、クローブ、ディルシード、マスタードシードなど(お好みで)
* 水:適量

作り方(さつまいもピクルスの場合)

1. 下準備:
* さつまいもは皮をむき、1cm厚さの輪切り、または半月切りなど、食べやすい大きさに切ります。
* 切ったさつまいもは、水にさらしてアクを抜き、ザルにあげて水気をよく切ります。
2. 下茹で:
* 鍋にたっぷりの湯を沸かし、さつまいもを入れ、竹串がすっと通るくらいまで(竹串で刺すと、少し抵抗がある程度)硬めに茹でます。茹ですぎると崩れてしまうので注意が必要です。
* 茹で上がったさつまいもは、ザルにあげて粗熱を取ります。
3. ピクルス液作り:
* 鍋に酢、砂糖、塩、水、お好みの香辛料を入れ、弱火で加熱します。砂糖と塩が溶け、全体が均一になるまで混ぜながら温めます。沸騰させる必要はありません。
* ピクルス液の割合は、一般的に「酢:水:砂糖:塩=3:2:1:0.5」などが目安ですが、お好みの甘さや酸味で調整してください。香辛料は、この段階で加えて風味を移します。
4. 漬け込み:
* 熱いうちに、粗熱が取れたさつまいもを熱湯消毒した保存容器に詰めます。
* 容器に、温かいピクルス液を、いもがかぶるまで注ぎます。
* 空気を抜くように蓋をしっかりと閉め、常温で冷まします。
* 完全に冷めたら、冷蔵庫で保存します。
5. 保存・熟成:
* 最低でも1日以上漬け込むと味が馴染みます。数日置くと、より一層美味しくなります。
* 冷蔵庫で保存し、1週間〜10日程度を目安に食べきりましょう。

他のいも類での応用

* じゃがいも:皮ごと小さめに切るか、芽の部分をしっかり取り除きます。下茹では、さつまいもよりも短時間で、ホクホクとした食感が残る程度にします。
* 里芋:皮をむき、一口大に切ります。ぬめりを取るために、軽く塩もみしてから水で洗い、下茹でします。里芋は崩れやすいので、火加減に注意が必要です。
* 山芋:皮をむき、輪切りや拍子木切りにします。山芋は生でも食べられますが、ピクルスにする場合は、軽く下茹で(1分程度)すると食感が良くなります。

ピクルスを楽しむヒント

* アレンジ:玉ねぎのスライスや、パプリカ、にんじんなどの野菜を一緒に漬け込むと、彩りも豊かになり、味のバリエーションも広がります。
* 風味付け:唐辛子を加えればピリ辛に、ハーブ類(ローズマリー、タイムなど)を加えれば香りの良いピクルスになります。
* 活用法:そのまま食べるだけでなく、サラダに混ぜたり、サンドイッチの具材にしたり、肉料理や魚料理の付け合わせにしたりと、様々な料理に活用できます。

乾燥いも

乾燥いもは、いもを乾燥させることで水分を飛ばし、長期保存を可能にした保存食です。栄養価が凝縮され、甘みが増すのが特徴です。そのままおやつとして食べるほか、煮物や汁物、お菓子作りにも利用できます。

乾燥いも作りの基本

乾燥いもの作り方は、いもをスライスして天日干し、または食品乾燥機やオーブンで乾燥させるのが一般的です。

材料

* 主材料:さつまいも(ねっとりとした品種がおすすめ)
* 水:必要に応じて(アク抜き用)

作り方(天日干しの場合)

1. 下準備:
* さつまいもはよく洗い、皮をむきます。皮付きのままでも作れますが、皮の硬さが気になる場合はむきます。
* お好みの厚さにスライスします。厚さはおよそ3mm〜5mm程度が目安です。薄すぎるとパリパリになりやすく、厚すぎると乾燥に時間がかかります。
* スライスしたいもは、水にさらしてアクを抜きます。数分〜10分程度でOKです。
* 水から引き上げ、キッチンペーパーなどでしっかりと水気を拭き取ります。
2. 並べる:
* ザルや干し網などに、いもの切り口が重ならないように並べます。
* 直射日光がよく当たり、風通しの良い場所に置きます。
3. 乾燥:
* 天候によりますが、数日間かけて乾燥させます。
* 乾燥している間は、虫やホコリがつかないように、乾いた布や網などで覆うと良いでしょう。
* 時々いもを裏返すと、均一に乾燥させることができます。
* 触ってみて、硬く、パリパリになれば完成です。完全に乾燥させると、長期保存が可能になります。
* まだ少ししっとりしている場合は、数日干すか、食品乾燥機やオーブンで補完乾燥させます。

食品乾燥機やオーブンでの乾燥

* 食品乾燥機:
* スライスしたいもを乾燥機に並べ、40℃〜60℃程度で、数時間〜一晩かけて乾燥させます。機種や設定温度、いもの厚さによって時間は異なります。
* オーブン:
* オーブンシートを敷いた天板にいもを並べ、100℃〜120℃程度に予熱したオーブンで、乾燥モードや弱火でじっくりと焼きます。途中でひっくり返しながら、数時間かけて乾燥させます。焦げ付かないように注意が必要です。

乾燥いもの保存と活用

* 保存:
* 完全に乾燥した乾燥いもは、密閉容器に入れ、直射日光や湿気を避けて冷暗所で保存します。
* 乾燥剤を入れておくと、より湿気を防ぐことができます。
* 適切に保存すれば、半年〜1年程度保存可能です。
* 活用法:
* そのまま食べる:甘みが凝縮されており、素朴で美味しいおやつになります。
* 煮物:水で戻してから煮物に入れると、甘みが増し、ホクホクとした食感になります。
* 汁物・スープ:乾燥したまま汁物やスープに入れると、溶け出して甘みととろみが加わります。
* お菓子作り:マフィンやクッキーの生地に混ぜ込んだり、ペースト状にしてケーキのフィリングにしたりと、幅広く活用できます。
* 非常食:栄養価が高く、長期保存できるため、非常食としても優れています。

まとめ

いも類のピクルスと乾燥いもは、手軽に作れて長期保存が可能な、優れた保存食です。ピクルスは、いもの新しい魅力を引き出し、食卓に彩りとアクセントを加えます。一方、乾燥いもは、いもの甘みと栄養を凝縮させ、様々な料理に活用できる万能な保存食となります。それぞれの特性を理解し、ご家庭の食卓や非常食として、いも類の保存食を上手に取り入れてみてください。