さつまいもの「干し芋」:失敗しない!自家製干し芋の作り方と保存法

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さつまいもの「干し芋」:失敗しない!自家製干し芋の作り方と保存法

自家製干し芋の魅力

干し芋は、さつまいも本来の甘みと栄養が凝縮された、素朴で美味しい保存食です。市販の干し芋も美味しいですが、自分で作ると、さつまいもの種類を選んだり、好みの食感に仕上げたりと、より一層愛着が湧くものです。さらに、添加物を使わずに作れるため、健康志向の方にもおすすめです。最近では、冷え性改善や便秘解消といった健康効果も注目されており、美容と健康を意識した食生活に取り入れる方も増えています。

自家製干し芋の最大の魅力は、なんといってもその美味しさです。じっくりと乾燥させることで、さつまいもに含まれるデンプンが糖に変わり、ねっとりとした食感と濃厚な甘みが生まれます。そのままでも美味しいですが、オーブントースターで軽く炙ると、香ばしさが増してさらに美味しくなります。お茶請けとしてはもちろん、朝食やおやつにもぴったりです。また、お子様のおやつとしても安心して与えることができます。

干し芋作りに適したさつまいもの選び方

干し芋作りを成功させるには、さつまいもの選び方が非常に重要です。干し芋に適したさつまいもは、主に以下の特徴を持っています。

品種による特徴

  • 「紅はるか」:近年人気の品種で、糖度が高く、ねっとりとした食感と濃厚な甘みが特徴です。干し芋にすると、その甘みが一層引き立ちます。
  • 「シルクスイート」:こちらも比較的新しい品種で、上品な甘さと絹のような滑らかな舌触りが特徴です。女性に人気があります。
  • 「玉豊(たまゆたか)」:昔から干し芋の原料として親しまれてきた品種です。しっかりとした甘みと、程よい弾力のある食感が楽しめます。
  • 「紅あずま」:比較的入手しやすく、ホクホクとした食感と優しい甘みが特徴です。干し芋にすると、素朴な味わいが楽しめます。

さつまいもの状態

  • 形状:細長いものよりも、やや太めで丸みを帯びたものの方が、中心部まで均一に火が通りやすく、仕上がりが均一になります。
  • 傷や病斑のない、新鮮でハリのあるものを選びましょう。傷があると、そこから傷んでしまう可能性があります。
  • 重さ:手に取った時にずっしりと重みを感じるものは、水分が適度に含まれており、甘みが凝縮されています。
  • :皮の色が鮮やかで、均一なものが状態の良い証拠です。

※注意点:品種によって甘さや食感が異なりますので、ご自身の好みに合わせて選ぶのが一番です。初めて作る場合は、人気の「紅はるか」や、手に入りやすい「紅あずま」から試してみるのがおすすめです。

自家製干し芋の基本的な作り方

自家製干し芋の作り方は、意外とシンプルです。基本的な工程は、「蒸す」→「冷ます」→「干す」の3ステップです。

ステップ1:さつまいもの準備

  1. さつまいもを洗う:土や汚れを丁寧に洗い流します。皮ごと使うので、しっかりと洗いましょう。
  2. さつまいもを切る:好みの厚さに切ります。目安は1~1.5cm程度です。薄すぎると乾燥しすぎてしまい、厚すぎると中まで火が通りにくくなります。皮はお好みで剥いても構いませんが、皮の近くに栄養や旨味が多いため、皮ごと使うのがおすすめです。

ステップ2:さつまいもを蒸す

  1. 蒸し器で蒸す:蒸し器にさつまいもを並べ、竹串がスッと通るまでじっくりと蒸します。蒸し時間はさつまいもの大きさや火力によって異なりますが、20~40分程度が目安です。
  2. ※電子レンジでも可:電子レンジを使う場合は、耐熱皿にさつまいもを並べ、ラップをかけて様子を見ながら加熱します。ただし、均一に火が通りにくい場合があるため、蒸し器の使用をおすすめします。

ステップ3:さつまいもを冷ます

  1. 蒸しあがったさつまいもは、粗熱を取ります。すぐに干し始めると、表面に水分が出てしまい、カビの原因になることがあります。風通しの良い場所で、完全に冷めるまで待ちましょう。

ステップ4:さつまいもを干す

  1. 干し網やザルに並べる:冷めたさつまいもを、重ならないように干し網やザルに並べます。
  2. 日当たりの良い場所で干す風通しが良く、直射日光の当たる場所で干します。ベランダや庭などが適しています。
  3. 定期的に裏返す:乾燥ムラを防ぐために、1日に1~2回程度、さつまいもの裏表を返しましょう。
  4. 乾燥期間:天候にもよりますが、3~5日程度が目安です。表面が乾き、触ってみて適度な弾力があれば完成です。
  5. ※雨の日や夜は室内に取り込む:湿気や雨はカビの原因となるため、雨の日や夜間は室内に取り込みましょう。
  6. ※オーブンや食品乾燥機を活用:天候が不安定な場合や、短時間で仕上げたい場合は、低温(60℃程度)でじっくりと加熱できるオーブンや食品乾燥機を活用するのも良い方法です。

干し芋作りのポイントと失敗しないコツ

自家製干し芋を美味しく作るためには、いくつかのポイントとコツがあります。

蒸し方

  • 中までしっかりと火を通す:蒸し時間が足りないと、中心部まで甘みが回らず、仕上がりが悪くなります。竹串がスッと通るまで、焦らずじっくりと蒸しましょう
  • 余分な水分を飛ばす:蒸しあがったさつまいもから、余分な水分を自然に飛ばすことで、より甘みが凝縮されます。

冷まし方

  • 完全に冷ますこと:蒸したて的热いまま干すと、水分が表面に出てきてしまい、カビの発生原因となります。完全に冷ますことが、カビを防ぐための重要なポイントです。

干し方

  • 風通しを良くする風通しが悪いと、乾燥に時間がかかり、カビが発生しやすくなります。雨の日や湿度の高い日は、無理に干さないようにしましょう。
  • 直射日光を有効活用太陽の光で乾燥させることで、甘みが凝縮され、風味豊かに仕上がります。
  • 乾燥具合の確認:表面が乾いていても、中がまだ生っぽいことがあります。適度な弾力があり、指で押してもベタつかない状態が目安です。
  • ※カビが生えてしまったら:万が一、カビが生えてしまった場合は、残念ながら食用にはできません。カビは根を張っている場合があるため、取り除いても安全とは言えません。

応用編:より美味しく作るための工夫

  • 低温でじっくり乾燥させる:最近では、60℃程度の低温でじっくりと乾燥させることで、よりねっとりとした食感と濃厚な甘みが引き出されると人気です。オーブンや食品乾燥機で試してみるのも良いでしょう。
  • 蒸し加減の調整:品種によって最適な蒸し加減が異なります。何度か試して、ご自身の好みの食感を見つけてください。

自家製干し芋の保存方法

自家製干し芋は、適切に保存することで、長期間美味しく楽しむことができます

冷蔵保存

  • 乾燥剤と一緒に密閉容器に入れる:完全に乾燥した干し芋は、乾燥剤(シリカゲルなど)と一緒に密閉容器やジッパー付きの袋に入れて冷蔵庫で保存します。
  • 保存期間2週間〜1ヶ月程度が目安です。

冷凍保存

  • 小分けにしてラップに包む:長期保存したい場合は、1回分ずつ小分けにしてラップでしっかりと包み、さらに冷凍用保存袋などに入れて冷凍庫で保存します。
  • 保存期間1〜2ヶ月程度が目安です。
  • ※解凍方法:冷凍した干し芋は、自然解凍するのがおすすめです。急いでいる場合は、電子レンジの解凍機能を使っても良いですが、食感が多少変わる場合があります。

干し芋の「白カビ」について

干し芋の表面に白っぽい粉が付いていることがありますが、これは「麦芽糖」が結晶化したもので、カビではありません。むしろ、この白っぽい粉は甘みが増した証拠でもあります。気になる場合は、軽く拭き取るか、そのままお召し上がりください。ただし、黒っぽい、または緑っぽいカビは、食用に適さないカビですので、取り除いてください。

まとめ

自家製干し芋作りは、さつまいもの選び方、蒸し加減、そして干し方が成功の鍵となります。少し手間はかかりますが、その分、出来上がった時の喜びと美味しさは格別です。今回ご紹介した作り方と保存法を参考に、ぜひご家庭で美味しい干し芋作りに挑戦してみてください。健康にも良く、素朴な味わいの干し芋は、きっとあなたの食卓を豊かにしてくれるはずです。